事業紹介
石綿技術研究所は、創業以来、解体時のアスベスト調査の知見を積み重ねてきました。
2022年4月1日より、事前調査が義務化されるとともに有資格者を拡充し、事前調査、定性分析、除去作業のビジネスを展開しております。
アスベスト(石綿)含有の事前調査
図面から、どこにアスベスト(石綿)使われているのかを把握し、実際の物件にて現地調査を行います。
アスベスト(石綿)の有無は、不動産取引価格に大きな影響を及ぼします。
不動産売却時や解体時には、建物の全室にアスベスト(石綿)が含まれていないか調査を実施しています。
現場からの試料採取(サンプリング)と定性分析
定性分析とは、アスベスト(石綿)が含まれているかどうかを調べるものです。
単にその建材や仕上のアスベスト(石綿)の含有状況を知りたい場合には定性分析で十分ですが、
どのくらいの量が含まれているのか含有量(%)も知りたい場合には定量分析必要になります。
アスベスト(石綿)の除去作業
定性分析とは、アスベスト(石綿)が含まれているかどうかを調べるものです。
単にその建材や仕上のアスベスト(石綿)の含有状況を知りたい場合には定性分析で十分ですが、
どのくらいの量が含まれているのか含有量(%)も知りたい場合には定量分析必要になります。
なぜ、アスベスト(石綿)は使われてきたのか
アスベスト(石綿)は、安価であり、「耐火性に優れている」、「断熱性が高い」、「防音性が高い」、「絶縁性が高い」など多様な優れた機能を有していることから、耐火・断熱・防音の目的で建築材料として、建築物(ビル、学校・病院、工場、一般住宅など)や工作物(駐車場、プラットホーム、変電施設など)に大量に使用されてきました。
特に有害と言われているレベル1の吹き付け材は、耐火被覆用として、鉄骨造建築物のはり、柱等へ使用されていました。吸音・断熱用は、ビルの機械室、ボイラー室、地下駐車場等の他、学校、体育館、工場等の天井、壁などに使用されています。
当時は小学校のアルコールランプでの実験の際、石綿の金網が使われていたことからも、健康被害があるとは考えられていなかっため、石綿含有吹付け材は、昭和63年まで使用されていました。
アスベスト(石綿)による健康被害
アスベスト(石綿)は、髪の毛の直径よりも非常に細く、肉眼では見ることができない極めて細い繊維からなっています。そのため、飛散すると空気中に浮遊しやすく、吸入されて人の肺胞に沈着しやすい特徴があります。吸い込んだ石綿の一部は異物として痰の中に混ざり体外へ排出されます。
しかし、アスベスト(石綿)繊維は丈夫で変化しにくい性質のため、肺の組織内に長く滞留することになります。この体内に滞留した石綿が要因となって、肺の線維化やがんの一種である肺がん、悪性中皮腫などの病気を引き起こすことがあります。
アスベスト(石綿)繊維は細くて長いものほど有害性が高くなるといわれています。肺内に滞留した石綿繊維を白血球の一種であるマクロファージが排除しようとしますが、長い繊維は排除されにくく体内に長く滞留するためと考えられています。
また発がん性は、アスベスト(石綿)の種類によって異なり、角閃石族のクロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)の方がクリソタイル(白石綿)よりも発がん性が高いとされています。
アスベスト(石綿)を吸い込んだ量と中皮腫や肺がんなどの発病との間には相関関係が認められていますが、どの程度以上の石綿を、どのくらいの期間吸い込めば、中皮腫になるかということは明らかではありません。
アスベスト(石綿)の有害性
アスベスト(石綿)を含む粉じんの人への呼吸器経路は、鼻腔⇒咽頭⇒喉頭⇒気管⇒気管支⇒細気管支⇒肺胞道⇒肺胞嚢と言われいます。一般に粉じんが鼻腔・咽頭を通過し、気管・気管支に到達しても5㎛(マイクロメートル)以上の粒子は渦上に流れる気流によって気道粘膜に付着し、通常は数時間以内に繊毛の運動により取り除かれます。(粘液繊毛クリアランス)
しかし、通常は肺胞腔に到達するのは2~3㎛(マイクロメートル)以下の微細な粒子になるのですが、アスベスト(石綿)繊維の場合は、極めて細いために、長い繊維でも容易に到達し、実際には長さ数十㎛(マイクロメートル)のアスベスト(石綿)繊維が検出されるケースも多くあります。
石綿ばく露(吸入)とは
石綿にばく露(石綿から生ずるか、又は石綿を含有する鉱物、材料若しくは製品から生ずるかを問わず、浮遊して吸入されやすい石綿繊維又は石綿粉じんにさらされることを指します)される機会は職業性のものが最も多いとされています。
直接的なばく露もあれば間接的なばく露もあり、直接的な職業ばく露とは、石綿鉱山、石綿製品製造工場、断熱作業などで直接石綿や石綿を含有する製品を製造・取り扱うことによるばく露です。
間接的な職業ばく露とは、直接石綿を取り扱うことはないが、石綿を取り扱う現場で作業をすることによって石綿ばく露を受けることを指し、造船業や車輌製造業などの場合にしばしばみられます。中皮腫の場合には間接的なばく露を受けた者でも発症がみられることがあります。
アスベスト(石綿)で発症する疾患
(1)石綿肺
肺が線維化してしまう肺線維症(じん肺)という病気の一つです。肺の線維化を起こすものとしては石綿のほか、粉じん、薬品等多くの原因があげられます が、石綿のばく露によっておきた肺線維症を特に石綿肺とよんで区別しています。職業上、アスベスト(石綿)粉塵を10年以上吸入した労働者に起こるといわれており、 潜伏期間は15~20年といわれております。アスベスト曝露をやめたあとでも進行することもあります。
(2)肺がん
石綿が肺がんを起こすメカニズムはまだ十分に解明されていませんが、 肺細胞に取り込まれた石綿繊維の主に物理的刺激により肺がんが発生するとされています。 また、喫煙と深い関係にあることも知られています。アスベスト(石綿)ばく露から肺がん発症までに15~40年の潜伏期間があり、 ばく露量が多いほど肺がんの発生が多いことが知られています。 治療法には外科治療、抗がん剤治療、放射線治療などがあります。
(3)悪性中皮腫
肺を取り囲む胸膜、肝臓や胃などの臓器を囲む腹膜、心臓及び大血管の起始部を覆う心膜等にできる悪性の腫瘍です。若い時期にアスベスト(石綿)を吸い込んだ方の ほうが悪性中皮腫になりやすいことが知られています。潜伏期間は20~50年といわれています。治療法には外科治療、抗がん剤治療、放射線治療などがあり ます。
(4)びまん性胸膜肥厚
びまん性胸膜肥厚とは、肺を覆う胸膜が線維化して厚くなってしまう病気のことです。比較的高濃度のアスベスト(石綿)にばく露し続けると発症するといわれています。石綿肺と合併して発症するケースや、良性石綿胸水の後遺症として発症することもあるとされています。症状としては、呼吸困難や胸の痛みの他に、呼吸器感染等があげられます。
(5)良性石綿胸水
胸水とは、胸腔(きょうこう)内に体液がたまる状態のことです。アスベスト(石綿)の吸引によって胸膜炎を発症し、胸水がたまることを良性石綿胸水といいます。呼吸困難や胸の痛みなどがみられるとされていますが、良性石綿胸水は胸水の消失とともに、平均3~6か月で治癒することが多いといわれています。
アスベスト(石綿)疾患の初期症状
次のような日常生活における症状が認められるときには、医療機関等にご相談されることをお勧めします。
- 息切れがひどくなった
- せきやたんが以前に比べて増えた
- たんの色が変わった
- たんに血液が混ざった
- 顔色が悪いと注意された
- 爪の色が紫色に見える
- はげしい動悸がする
- 風邪をひいて、なかなか治らない
- 微熱が続く
- 高熱が出た
- 寝床に横になると息が苦しい
- 食欲がなくなった場合や急にやせた
- やたらに眠い
アスベスト(石綿)の予防対策
アスベスト(石綿)による健康被害の予防は、労働衛生管理体制の確立、作業環境管理、作業管理、健康管理、およびこれらについての正しい理解が必要です。
アスベスト(石綿)関連疾患のなかでも中皮腫はもっとも潜伏期間が長く、またほかの疾患に比べてより少ないばく露量でも発症することが知られています。現在のところ、どれだけのアスベスト(石綿)なら吸入しても安全であるか、具体的なばく露量はわかっていません。
喫煙の影響
アスベスト(石綿)は非喫煙者に対しても肺がんのリスクを高めると言われていますが、喫煙とアスベスト(石綿)の両者のばく露を受けると肺がんのリスクは相加作用を上回ることが知られています。禁煙の肺がんリスクはアスベスト(石綿)のおよそ2倍であり、アスベスト(石綿)関連肺がんの大半は喫煙をやめることで、防ぐことができます。
石綿による健康被害の救済に関する法律
アスベスト(石綿)を吸入したことによる健康被害が社会問題となったことから、医療費を給付することなどにより被害の救済を行い、また、遺族への特別給付金の支給を行うために、環境省と厚生労働省の主導により制定された法律です。独立行政法人環境再生保全機構から救済給付が支給されます。
アスベスト(石綿)製品生産や建設作業に携わっていた作業者の健康被害に対する補償が行われてきたが、2005年(平成17年)にアスベスト(石綿)含有製品を過去に生産していた工場近辺における住民の健康被害が明らかになったことで、医療費の支給など救済措置のための法律が制定されることになりました。
また、アスベスト(石綿)製品がほぼ全廃された現在においても、石綿(アスベスト)吹きつけ材、アスベスト(石綿)を含む断熱材などが用いられた建設物から、解体時にアスベスト(石綿)が飛散することについても問題とされています。
所有者の責任を防ぐために
アスベスト(石綿)が使用されていた昭和50年代前後は、高度経済成長期でもあり、安価で高性能のアスベスト(石綿)が建築材料として、さまざまな用途に使われていました。しかし、現在では、アスベスト(石綿)の有害性が指摘され、健康被害による国からの給付金や建材メーカーへの損害賠償の判決もでています。
「労働安全衛生法 石綿障害予防規則」「建設リサイクル法」「大気汚染防止法」など、法的な整備が整い、事前調査が義務化された今後は、アスベスト(石綿)の管理責任が所有者に問われれる時代が来たことを意味します。
石綿技術研究所では、所有者・発注者の観点からも、事前調査を推奨しています。
〈参考引用:厚生労働省|アスベスト(石綿)に関するQ&A〉
〈参考引用:厚生労働省|石綿にばく露する業務に従事していた労働者の方へ〉
〈参考引用:中央労災防止協会資料〉