結論から言いますと、みなし判定を選択しても事前調査や結果報告は必要となります。
事前調査でアスベスト(石綿)等の含有が不明な場合に、対象となる建材を「石綿含有」とみなして取り扱うことができます。 この場合は、建材の石綿含有分析を省略できますが、石綿を含有する建材として取り扱うことが必要になります。 そのため、建材の種類によっては、各種届出の手続きなどが必要となります。
つまり、みなし判定をしても事前調査の手続きの流れは変わりません。ですが、分析調査をする必要がなくなりますので、分析調査費用が掛からなくなります。
そのあの解体工事の時には、アスベスト(石綿)が有るものとみなして「もっとも厳しいアスベスト(石綿)対策」を講じなければなりません。
石綿含有みなしの実際例
建築物等に対する調査を行った結果、アスベスト(石綿)の含有の有無が不明である場合において分析を行いますが、分析を行わずにアスベスト(石綿)含有「みなし」とすることができます。分析を行うかどうかについては、事業者や発注者等が選択します。
その際、具体的には、同一と考えられる建材ごとに、主に次のような要素を踏まえて、環境負荷やアスベスト(石綿)対策に要する費用などが比較考量され選択されているのが現状です。
みなし判定の選択
1.建築物等に対する調査(石綿則第3条第1項)を行った結果、アスベスト(石綿)の含有の有無が不明である場合において、アスベスト(石綿)含有「みなし」とするか、分析まで行うかについては、レベル1を除き、法的に制約はなく、事業者が選択することになります。
2.実務上、環境負荷や対策コストと、分析に要するコストや工期への影響とを比較考量するなどし、分析まで行うか否か判断していくことが多いです。
具体的には、同一と考えられる建材ごとに、主に次のような要素を踏まえて、比較考量することになります。
注意するポイント | 内容 |
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単位分析あたり判定できる量 | 建材の数量や種類が多い場合には、みなし判定を選択した方が有利な場合があります。 |
試料採取コストや分析コスト | 事前調査(図面資料などから判断)できずに現地で分析調査用のサンプル採取や分析対象の建材数が多い場合には、みなし判定を選択する方が費用が抑えられます。 |
アスベスト(石綿)の含有の可能性 | 可能性が高いほどみなし判定が効率的であり、可能性が低いほど分析により含有の有無を判定した方がトータルでコストが下がる場合が多いと言えます。 |
アスベスト(石綿)ばく露・飛散防止対策や廃棄物処理コスト | 石綿ではないと証明できた場合の対策コスト減少はなくなり、もっとも厳しいアスベスト(石綿)対策が必要になります。 |
再資源化の要否 | 安易に石綿ありとするのではなく、石綿無しを証明して再資源化すべきものかの判断する必要があります。 |
分析調査のコストとの判断が重要
分析調査の1試料あたりの分析コストは2~4万円程度ですが、事前調査の現場によっては、10試料以上ものサンプリングが必要になる場合があります。
コストを考慮した事業者の判断が重要となりますので、みなし判定後の除去作業についても、レベル1(最も厳しいアスベスト対策)と同様の飛散防止対策が必要なケースがあります。
分析調査と除去作業のコストバランスが重要です。
参考引用:環境省 付録Ⅰ 事前調査の方法 – 環境省
参考引用:国土交通省「建築物石綿含有建材調査マニュアル」
参考引用:石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル – 厚生労働省