アスベストには、「みなし判定」という判断方法がありますが、これはどんな内容なのでしょうか?
詳しく説明していきます。
みなし判定
「アスベスト(石綿)みなし判定」とは、建物などに使用されている材料がアスベスト(石綿)を含んでいるかどうかを判断するための方法の一つで、使用されているのかどうかを判別するのが困難な場合や、過去の施工や時期に使用する材料の種類から「アスベストが含まれている」とする判定基準です。
本来なら、建材をサンプル採取し、分析機関などに依頼して分析調査で判定するのですが、分析調査をしなくても、「アスベストが含まれている」と判定します。
みなし判定をした場合には、アスベストの判定基準(レベル1〜レベル3)の中で最も厳しい、レベル1相当が適用されます。
レベル1 | レベル2 | レベル3 | |
発じん性 | 発じん性が著しく高い | 発じん性が高い | 発じん性が比較的低い |
主な材料 | 石綿含有吹付け材 | 石綿含有保温剤や耐火被覆材・断熱材 | 成形板などの板状の建材が一般的 |
作業員の対応 | 粉塵マスクや保護衣の使用など厳重なばく露対策が必要 | 作業員が使用する保護具はレベル1に比較するとやや簡易的 | レベル1・2に比べれば前室の設置のような厳重な対策は不要、作業員のばく露対策は簡易的 |
除去費用と分析費用
アスベスト調査をみなし判定とした場合には、最も厳しいレベル1の対策が必要になります。もちろん、厳重な飛散防止対策が行われるため、除去費用も高額になります。
みなし判定をすれば、分析結果を待つ必要がありませんので、レベル1対策を行えば工事に取りかかることができますが、分析調査を行い、アスベストがレベル1以外だった場合には、分析費用がかかったとしても、除去費用と比較すると安く済むケースもあります。
「厳重な除去費用」と「分析調査費用」の比較検討が必須です!
可能な限り、経験値の高い業者さんにお願いする方が、判断しやすいと思います。また、みなし判定には次のようなメリットがあります。
1.迅速なリスク評価が可能
- 実際にアスベストの内容検査を行う場合、サンプル採取や分析に時間とコストがかかりますが、「みなし判定」ではその場で判断ができるため、アスベストの可能性がある建材に対して迅速に施工可能です。
2.コスト削減
- アスベストの分析検査には費用がかかりますが、「みなし判定」を活用することで、すべての建材の検査を省略できるため、コストの節約につながります。その場合、大幅なコスト削減が可能です。
3.過去の施工情報を有効活用
- 施工や時期建材の種類に基づいて判定を行うため、施工履歴や過去のデータを活用して判断ができる点がメリットです。これにより、検査の負担を軽減しつつ、適切な予防措置を講じることができます。
4.安全確保
- 「みなし判定」により「アスベストが含まれる可能性がある」と見られる建材に対して、早期に安全対策を講じることができるので、作業者や生存者の健康リスクを軽減します。
5.作業効率の向上
- 検査を省略し、即座に「みなし判定」によってリスクがあると判断することで、解体や改修作業を迅速に進めることができます。これにより、作業スケジュールが短縮され、全体の工期が短縮される可能性があります。
6.行政や監督機関の確認が簡単にできる
- 「みなし判定」を基に対応することで、行政長官や機関に対する報告や確認作業がスムーズにいきます。 特にアスベスト管理に関する厳しい規制のある場合、みなし判定は迅速な対応が可能なため、手続きが簡略化されることもあります。
みなし判定まとめ
「みなし判定」は、確実にベストの立場を特定するわけではありませんが、リスクがある場合の予防的な措置として有効です。このため、迅速かつコスト効率のよい対策が可能なケースもありますが、予算と期間と比較し、有効な選択することが重要です。
パターンとしては以下のように分類されます
1.みなし判定をすると、調査費用を抑える事はできるが、その分、除去工事費用が高額になります。
2.みなし判定を使わずに、事前調査をすると、調査、分析費用が必要になるが、アスベスト(石綿)が含まれていないと、除去工事費用は必要なくなります。
3.事前調査を行って、アスベストが含まれている場合には、調査費用と高額な除去工事費用が必要になります。
ほとんどの方が費用を抑えたいと考えるのは、自然な事なのですが、単純にこれまでの調査結果から検討すると、事前調査を行った方が費用総額を抑える事ができているケースが多くみられます。
あくまで、当研究所のデータですが、アスベスト(石綿)のレベルを把握するためにも、みなし判定よりも事前調査をおすすめ致します。