アスベスト(石綿)の調査費用は様々です。
「今のところ劣化していないが、早めに調査したい!」
「調査費用は掛かるが、リスクを考えると安心したい!」
「取引先からアスベスト事前調査を相談されたが、よくわからない」
「対応しなければならないのは理解しているが、依頼先がない」
など・・・
今までは、工事費用に含まれていましたので、工事業者としては、費用をかけずに簡単に調査したいというのが現状でした。ですが、2021年4月に施工された法改正では、アスベスト(石綿)にかかる費用は、「施工業者への配慮義務」として、施主さんが費用を負担することが明記されています。
石綿(アスベスト)除去に関する費用は大きくわけて3種類になります。

※当社で実施しているのは事前調査①と事前調査②になります。3つめの除去費用については解体業者となります。
アスベスト(石綿)事前調査の報告を怠ると、大気汚染防止法に基づき、30万円以下の罰金を科せられます。 また、アスベスト(石綿)除去などの措置義務に違反すると3月以下の懲役又は30万円以下の罰金となります。
アスベスト事前調査の流れ
アスベスト調査は、事前調査、分析調査、報告書の作成の流れで行われます。実際に調査を行うのは調査員ですが、依頼主側も流れを知っておくとよりスムーズに調査が進むでしょう。ここでは、それぞれの調査と報告までの一連の流れを詳しく見ていきます。
1.事前調査
事前調査とは、工事の前にアスベストの有無を確認する調査になります。アスベストの事前調査には設計図等の書面でアスベストの有無を確認する「図面調査」と、実際に現場に足を運んで建物をチェックする「目視調査」があります。図面調査では、建築図面から使用された建材や建築方法を確認し、建材データベースなどと照合しながら、アスベストが含まれていないかを見極めます。ですが、図面だけでは分からない部分も多いため、目視調査で設計図との相違がないかを現場にて目で見て確認します。「図面調査」と「目視調査」の両方の調査によって、アスベストの現状を確認します。書面の「図面調査」だけで把握できるから「目視調査」をしなくて良いということはありません。
2.必要があれば分析調査を実施
分析調査とは、現地にて壁や天井の建材の一部をサンプル試料として採取し、アスベストの有無を調べる調査です。目視ではアスベストの有無を判断できないこともあるため、分析機関によりアスベスト成分が含有しているかを依頼します。分析調査には「定性分析」と「定量分析」がありますが、書面調査でアスベストの含有が明確な場合には、分析調査を行う必要はありません。分析調査を行った場合には機関より分析結果資料が添付されます。
3.結果報告書の作成
アスベスト調査を行った業者は、アスベストの有無に関わらず報告書を作成する必要があります。事前調査の費用は、石綿事前調査結果報告書を作成するための費用といえます。建物の面積によって金額が変わってきますが、目安としては以下のようになります。作成された報告書は、電子申請システムでの事前結果報告に活用できます。
面積 | 費用 |
---|---|
200㎡未満 | 190,700円(税込) |
500㎡未満 | 458,700円(税込) |
1000㎡未満 | 921,700円(税込) |
上記以外の200㎡未満、`1000㎡以上の建物などは、別途お見積りいたしますので、ご相談ください。また、分析費用はサンプル(試料)数によって変動しますので、含まれておりません。
石綿事前調査結果報告書のサンプルPDFはこちらです。
解体業者様との役割分担
役割 | 当社 | 解体業者(元請) |
---|---|---|
石綿事前調査結果報告書の作成 | 〇 | × |
電子申請システムでの入力 | × | 〇 |
労働基準監督署への解体計画書の提出 | × | 〇 |
都道府県への特定粉じん排出等作業実施届出書の提出 | × | 〇 |
石綿(アスベスト)の調査費用と分析費用
よく、混同されるのですが、調査費用は大きく分けると2種類あります。
- 図面上で調査を行い、実際の現地で確認する(事前調査+現地での目視調査)
- 現地より採取した材料を分析してアスベスト(石綿)の有無を確認する(分析調査)
法改正前は、アスベスト(石綿)の有無を分析して調べるだけでも認められていたのですが、事前調査結果とアスベスト(石綿)含有の有無の事前調査結果について、元請事業者が協力会社に関する内容も含めて、所轄労働基準監督署に電子システムにより報告する必要となりました。(令和4年(2022年)4月以降に着工する工事から対象となります)。
図面上の事前調査と現地での目視調査とは?
下記の図面から部屋ごとの仕様材料の一覧表(アスベスト有無事前調査 詳細表)を作成します。
建築確認申請書(表紙) 竣工または設計図(特記仕様書・配置図・平面図・立面図・平面詳細図・断面図・断面詳細図・矩計図・天井伏図・屋根伏図・什器備品関連図など) 設備図面(配管図・貫通部分詳細図など) 改修履歴(資料がない場合はヒアリングさせていただきます) その他関連書類
アスベスト有無事前調査 詳細表の例
(玄関・エントランス・廊下・ロビー・洗面・機械室など全部屋分を作成)
階数 | 部屋名 | 部位 | 材料名 | 商品名 | メーカー名 | 石綿の有無 | 石綿の種類 | 判断根拠 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 居室 | 天井 | ビニルクロス | |||||
床 | 塩ビシート | サンゲツフロア | サンゲツ | 有 | 白石綿 | 石綿データベース | ||
壁 | ビニルクロス | |||||||
巾木 | ソフト巾木 | |||||||
その他 | 腰壁 |
アスベスト(石綿)の有無を分析する調査とは?
現地による目視調査で建材を採取し、分析機関にて分析します。分析結果によりアスベスト(石綿)の有無を判断します。分析機関によって報告書の様式はことなりますが、金額は、1サンプリング分析当たり2万~4万円程度です。
電子申請システムの事前調査結果の報告のメリットとは?
事前調査結果報告は、石綿事前調査結果報告システムを利用することで労働基準監督署、及び自治体の窓口へ書面の提出に出向くことなく行うことができます。書面で申請する場合には、各自治体並びに労働基準監督署にそれぞれ提出書類を用意しなくてはならないため、時間と手間がかかります。
電子申請システム(厚生労働省・環境省)で申請をすると事前調査報告の書類は不要ですが、解体工事に必要な下記の電子申請をしても書類は提出が必要になりますので、ご注意ください。
- 計画届(労働基準監督署)
- 特定粉じん排出等作業実施届出書(都道府県)
ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。