事前調査受託

アスベスト(石綿)の事前調査とは
大気汚染防止法改正に伴い、令和5年10月1日以降に着工される建築物の解体・改修工事から、 アスベストの有無の調査を有資格者が行うことが義務付けられます。
対象建物中にアスベスト(石綿)含有建材が、どのくらいあるのか設計図書及び仕様書などにて書面調査を行い、不明なものについては現地での目視調査を行います。その際に検体を採取し、建築物に際してアスベスト(石綿)の含有されているかの分析調査を行い、アスベスト(石綿)の有無を確認します。
調査結果(分析結果を含む)内容は建築物石綿含有建材調査報告書に記載し、調査の記録は3年間保存することが義務付けられています。
建物所有者の三大義務
大気汚染防止法および石綿障害予防規則の改正により、令和4年4月1日以降に着工する一定規模以上の解体・改造・補修工事について、アスベスト(石綿)の有無に関わらず、アスベスト(石綿)調査結果の報告が必要になりました。
(1)アスベスト対策の義務
石綿則(10 条 4)により 2 以上の事業者に貸した建築物の共有部分のアスベスト(石綿)対策は建築物所有者の義務になります。 コンクリート、アスファルト・ コンクリート等に付着したアスベスト(石綿)を事前に調査することが 義務付けられています。 建築物の解体等の作業でアスベスト(石綿)等の使用の有無を事前に調査する必要があります。
(2)アスベスト工事の届出義務
アスベスト(石綿)を使用している建築物や工場のプラントなどの工作物を解体、改造、補修する場 合、工事の発注者又は自主施工者は、作業の場所、作業期間、作業の方法などについ て作業を始める日の14日前までに都道府県などの窓口に届出をしなければなりません。届出の手続きは元請業者に依頼することが可能です。
(3)石綿事前調査結果報告の義務
一定以上の建築物・工作物の場合、労働基準監督署、および自治体に事前調査結果の報告を行う義務が事業者(元方/元請事業者)に課せられます。電子申請で行うことも可能です。
アスベスト(石綿)調査の流れ
調査は、書面による一次調査、現地での目視による二次調査、専門機関の分析による分析調査と進んでいきます。

書面調査(一次調査)
お預かりした図面上で、アスベスト(石綿)が含有しているかどうかを仮判定いたします。仕様書や図面に記載されていれば、使用されていると判断しますが、書面調査後、現地での目視調査で再度確認いたします。現地での目視調査でも判別が難しい場合には、別途費用が発生しますが、分析調査をかけることになります。
提供をご依頼する主な図面等の種類は以下になります。可能な限り、分析調査の費用を抑えたいのでより多くの資料や図面のご協力をお願いいたします。
(ア)設計図書・竣工図書等 建築施工中に設計内容を変更することが多くあるため、竣工図があるなら竣工図を確認します。また、新築時以外にも、増築、改築、修繕、模様替え、用途変更等の際の図面も必要となります。 1.意匠図(特記仕様書、内外装仕上表、配置図、平面図(防火区画の確認)、立面図、断面図、天井伏図、平面詳細図、断面詳細図、矩計図、各種詳細図、什器備品関連図) 2.構造図 3.設備図(各図面に特記仕様書が付いている) (イ)過去の石綿含有建材の調査記録 (ウ)過去に石綿含有建材を処理(除去、封じ込め、囲い込みなど)した履歴(工法、施工日、部屋名・箇所) (エ)機械設備の分解、廃棄が解体工事に含まれる場合は、用途等の情報 (オ)吹付け材などの劣化状況の調査情報
現地での目視調査(二次調査)

書面調査での図面や資料だけでは、判断できない箇所を2~3名がチームとなって現地での目視による確認を実施する調査です。
現地の目視調査でもアスベスト(石綿)の含有を判断できない場合には、該当箇所の建材や壁材のサンプリング(試料)を採取し、分析調査し、アスベスト(石綿)の含有を確認します。
分析用試料採取(サンプリング)
試料を採取し、分析調査を行う場合には、別途費用が必要になります。1試料(サンプル)あたり、4万円程度かかります。大規模なアスベスト(石綿)調査では10試料×4万円で40万円以上かかることもあります。

アスベスト(石綿)が要因となって,肺の繊維化やがんの一種である肺がん,悪性中皮腫などの病気を引き起こすことがあります。作業者を健康被害から守るためにも、防塵マスクと使い捨て防護服を装備しての採取作業になります。

有資格者の管理のもと、飛散抑制剤等で対象材を湿潤化し、鋭利な道具で切り抜くように躯体との界面まで採取します。飛散抑制を行うことで、周辺の方へのアスベスト(石綿)被害を抑えることになります。

- 吹付け材等は、およそ直径3cmの球体(10cm3)程度を3ケ所から採取する。
- 板材等は10cm四方(100cm3)程度を3か所から採取する。
- 採取した試料はそれぞれチャック付き袋などに入れ、更に3ケ所分をまとめて袋に入れる。
作業者のアスベスト(石綿)の被害を考慮し、試料採取(サンプリング)させていただいておりますが、防護服と防塵マスクによる姿での作業になります。
周辺の方への「不安を煽るような誤解(感染症など)」や「あまり大げさな騒ぎになるのは避けたい」などのご要望の場合には、別途、周辺の方や住人の方にもご説明させて頂きながら、進めさせていただいておりますので、ご相談ください。
分析調査
定性分析 偏光顕微鏡法(JIS A1481-1)
建材中のアスベスト(石綿)含有の有無を判定します。種類は6種類(クリソタイル、アモサイト、クロシドライト、トレモライト、アンソフィライト、アクチノライト)となります。

現場での目視調査時に採取した建材サンプリング(検体)を分析し、アスベスト(石綿)の含有を判断します。特定の検査方法によるアスベスト(石綿)分析は、外部機関と連携しながら、対応いたします。分析結果は、建築物石綿含有建材調査報告書に記載し、保管されます。
アスベスト(石綿)の留意点
事前調査 を実施しない場合の罰則
アスベスト(石綿)事前調査の報告を怠ると、大気汚染防止法に基づき、30万円以下の罰金を科せられます。 また、石綿(アスベスト)除去などの措置義務に違反すると3月以下の懲役又は30万円以下の罰金となります。
事前調査が必要な工事
アスベスト(石綿)事前調査とは 原則すべての工事が対象です。2023年10月から着工する工事の場合、建築物の事前調査は、建築物石綿含有建材調査者または日本アスベスト調査診断協会の登録者が行う必要があります。
事前調査の費用負担
アスベスト(石綿)の調査には、その分、費用と工期がかかります。 法改正では、そのような場合に費用負担を行う施主が工事の状況を理解し、工期や工事費において施工業者へ協力することが求められています。
事前調査の対象工事
事前調査の対象は、従前より「解体等工事」と規定されており、具体的には、建築物又は工作物を解体、改造又は補修する作業を伴う建設工事のことをいいます。 今般、石綿障害予防規則において、「建築物等の解体等工事」に該当しない作業が整理されたことに伴い、大気汚染防止法においても同様に整理されました。